多くの人にはきっとまだあまり馴染みがないブロッコリースプラウト。
実は、ブロッコリーよりはるかに高い栄養価を特徴としている、スーパーフードの一つに分類される、素晴らしい野菜であることをご存知でしたか?
欧米では、数十年も前から一般的に知られているブロッコリースプラウトは、日本では、2000年前後くらいから少しずつ知名度を獲得し始め、現在は、普通のスーパーにも出回るようになりました。
そんなブロッコリースプラウトは具体的に何がいいのか?栄養価と効果、おすすめの食べ方や良質なお品の選び方(自分でも栽培できるので、ついでにその育て方も!)を野菜ソムリエが解説しました!
Akimoto Magdalena(秋本マグダレナ)。
ポーランド・ワルシャワ出身の野菜ソムリエ。
食育実践アドバイザーやオーガニックアドバイザーなど数多くの食にまつわる資格を取得。
ブログ「野菜人」経由で、欧米を中心とした、世界の食事のトレンドを紹介中!
目次
ブロッコリースプラウトとは?
スプラウトとは、野菜の種を発芽させたもの。発芽野菜や新芽とも呼ばれます。
ブロッコリースプラウトとは、ブロッコリーの種子を発芽させ、食用に仕上げた発芽野菜です。いわゆる、ブロッコリーの赤ちゃん。
このような、可愛らしい、クローバーのような見た目です^^↓一度はスーパーで見かけたことがあるのではないでしょうか?
アブラナ科に属し、アメリカやヨーロッパでは遥か昔から栽培され、人々に親しまれてきました。
ブロッコリースプラウトの栄養価と効果
そんな、ブロッコリースプラウトですが、実は、この小さな葉っぱにとんでもなく高い栄養が含まれているのです!
ブロッコリーも体に良い野菜の王者と言われていますが、そちらと比較しても、ブロッコリースプラウトにはビタミンK1は約5倍、ビタミンEは約2倍、カルシウムは約2倍!
アブラナ科の野菜が特徴としている「抗酸化物質」を豊富に含んでいることから、スーパーフードの一つに分類されました。
特に注目したいのは、ファイトケミカルと呼ばれる栄養素に分類される「スルフォラファン」を多く含んでいること。
スルフォラファンには、免疫力の向上、抗酸化作用、解毒作用、整腸作用、ピロリ菌除去作用など、身体の調子を整えてくれる働きがあります。
その結果、ダイエット効果・デトックス効果・アンチエイジング効果などが期待できます。
ブロッコリースプラウトでダイエット!
スルフォラファンには、内臓脂肪を減少させ、体重の増加をおさえてくれる効果があることがわかっています。
腸内環境もしっかり整えてくれるため、便秘に悩んでいる人などには特におすすめです。
がん予防
スルフォラファンには、強い抗酸化作用があることから、細胞の老化(=ガンになりやすくなる特性)を妨げ、またガン物質の発生を抑えたり、すでにガン化してしまった細胞を無毒化したりします。
肝機能の調整
スルフォラファンには、肝臓の解毒や炎症をおさえるといった働きがあります。
二日良いの時にブロッコリースプラウトを食べると、不思議なくらい、気持ち悪さが収まってくるのは、このため!
見た目かいわれ大根と似てるけど、比較して何が違うの?
私は、以前、ブロッコリースプラウトと間違えてかいわれ大根を買ってしまった経験があります。それだけ見た目が似ているのです!
↑左がかいわれ大根、右がブロッコリースプラウト
かいわれ大根は、大根のスプラウト、つまりは、新芽です。かいわれ大根のほうが、葉っぱが少しばかり大振りです。また、ブロッコリースプラウトは、甘めで無味に近いですが、かいわれ大根は、少しピリ辛な味わいを特徴としています。
大事なことは、ブロッコリースプラウトとは少し異なる栄養価を含んでいること。
いくつかの栄養素の観点(100gあたりのμg)で、ブロッコリースプラウトとかいわれ大根を比較してみました。
・スルフォラファン: ブロッコリースプラウトのほうがはるかに多い
・葉酸: ブロッコリースプラウトのほうが多い
・ビタミンC: ブロッコリースプラウトのほうが多い
・パントテン酸: ブロッコリースプラウトのほうが多い
・β-カロテン: かいわれ大根のほうが多い
・ビタミンK: かいわれ大根のほうが多い
・レチノール: かいわれ大根のほうが多い
どちらもとても高栄養!2種を交互に食べることで、上手に栄養を補うことができます。
なお、ブロッコリースプラウトがスーパーフードに分類されて、かいわれ大根がされていないのは、ブロッコリースプラウトが含むスルフォラファンの量にあります。かいわれ大根にもスルフォラファンはありますが、ブロッコリースプラウトには約20倍も!
ブロッコリースプラウトの選び方・家庭での栽培方法
日本でブロッコリースプラウトが広く栽培され始めたのは2000年頃。今では、どこのスーパーにも1種類から複数種類が置いてあります。
なお、ブロッコリースプラウトを購入する前に必ずじっくり見て欲しい点は以下です!
・葉っぱとその下にある軸がしなびていない
・それぞれの軸の背がそろっている
・色が均等な緑色であり、色あせしていない
・底にあるスポンジのような部分がしっかり潤っている
また、ブロッコリースプラウトは、葉物なので、劣化が早いと思われがちですが、正しく保存をすれば、意外としばらくの間鮮度を保てます。
ベストは、購入から3日以内に消費すること!3日が経過すると、少しずつ質が低下していきます。
3日以上経ってしまったブロッコリースプラウトは、そこのスポンジ部分に少しだけ水をあげて、容器のまま、上からラップをかけて、立たせて保管をしてください。これで、約1週間は持ってくれます!
話題の「ブロッコリースーパースプラウト」とは?
ブロッコリースプラウトの中でも、ちょっと珍しい、「ブロッコリースーパースプラウト」と言った品種について耳にしたことはありますか?
もしスーパーに一般的なブロッコリースプラウトとこのブロッコリースーパースプラウトが並んでいたら、迷いなくブロッコリースーパースプラウトを選ぶことをおすすめします。
なぜなのか?それは、ブロッコリースーパースプラウトは、どのブロッコリースプラウトよりも、スルフォラファンの量が多く、特に高栄養とされている品種であるためです。
ブロッコリースーパースプラウトはアメリカのジョンズ・ホプキンス大学に所属している医学博士ポール・タラレー氏によって開発され、1997年、アメリカで発表されてから、爆発的な人気を獲得しました。
日本では、村上農園といった会社がタラレー氏とライセンス契約を結び「医学者が開発した高成分野菜 ブロッコリースーパースプラウト」の名前で販売しています。
噂のブロッコリースーパースプラウトはこちら!大きめのスーパーであれば、結構どこにも入っているので、手軽に入手することができます。
一般的なブロッコリースプラウトの2倍ものスルフォラファンを含んでいるとのことです。
その理由には、そういった特別な品種であることだけではなく、栽培を行っている工場で発芽から3日目に収穫をしているところにあります。
そう、ブロッコリースプラウトは、発芽から3日目の状態が、スルフォラファンの配合量が最も多いのです。自身で栽培する際にも、3日目を意識するとよしです^^
そう!ブロッコリースプラウトは家でも簡単に育てられる!
ブロッコリースプラウトは、自宅でも栽培することができます。土に入れる必要はありません。容器に水を入れて、発芽させるだけと、とっても簡単!
必要になるのは、このような容器と種。
容器はいろんなものが販売されていますが、おすすめは、「おうちでベジ」の専用のものを使うこと。透明なプラスチック容器と黒いカバーの2つがセットになっているシンプルな商品ですが、このカバーが優れもの!網状になっていることから、栽培がとてもしやすいのです。
種も、いろんなものが出回っていますが、せっかくであれば、より栄養価が高いと言われている有機種子を使うといいかと思います。
栽培工程はとってもシンプル!
① 容器の線の部分まで水を入れる。
② カバーをゆっくり被せて、水が全体に広がるように、指でそらす。
③ 種を入れる。
④ 1日に1度水をかえる。
⑤ 発芽までじっくり待つ。
容器に種を入れてから、すこ〜しずつ発芽をします。
※スプラウトちゃんが新鮮な水を飲めるように、必ず1日に1度はかえてあげましょう!
種をまいてから、1週間もすると、ほら!こんなに大きく立派に育ちます!
ちなみに、収穫は、スルフォラファンが最も多く含まれると言われている、発芽から3日目がベストですよ☆
ブロッコリースプラウトのおすすめの食べ方・レシピ
いかにブロッコリースプラウトがスーパー野菜なのか?ご理解いただけたところで、では、どれくらいを目安に、どのように食べるといいのか?について簡単に。
ブロッコリースプラウトの摂取量ですが、1週間に最低1パック、目指すは2パック食べたいところです。
ブロッコリーは、何より大きいし、しっかりお腹にたまりますが、ブロッコリースプラウトは、細い軸に小さい葉っぱがついた、ボリューム感がとても少ないものとなっているので、正直、1食で1パックペロリといけちゃいます。
栄養を逃さないように、加熱はやめて!
ブロッコリースプラウトは、加熱することによってスルフォラファンやビタミン量が減少してしまいます。なので、可能な限り生で食べましょう!
ブロッコリースプラウトそのものの味は、葉物にとっては珍しく、甘め。無味に近いです。
そのままぽりぽり食べるのでも違和感ないけど、つまらないので、サラダのトッピングにしたり、スムージーやジュースに使ったり、ポタージュ、冷奴、パスタ、うどんの具材としてもなかなかいい感じに合います♪
また、脂質と一緒に食べることで、スルフォラファンの吸収率が高まることから、オリーブオイルやドレッシングなどをかけるのがベスト。個人的にはまさにこの、生のサラダでの摂取をおすすめします!
我が家の定番は、サンドイッチに挟んだり、
朝ごはんのワンアクセントなどに!
しっかり噛んでね!
ブロッコリースプラウトは、脂質と一緒にするだけではなく、細かく砕き、スルフォラファンの細胞をしっかり壊すことで、更に栄養の吸収率が高まることがわかっています。
なので、食べる際には、しっかり噛んでください!または、包丁で小さくカットしてもいいし、スムージーなどに入れる場合にはミキサーで十分にミックスしましょう。
現在、日本でも、一般スーパーで手軽に入手ができるようになりましたし、ちょっと踏み込んでみたい人は自家栽培もおすすめ♪
まずは少量からでも、日頃の生活にブロッコリースプラウトを導入してみてはいかがでしょうか?^^